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受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
10月1日(水)、第1回基礎学力テストが実施されました。
すでに多くの答案が返却され、全体の傾向が見えてきました。
今年は数学がやや難しく、他の科目は比較的取り組みやすかったようです。
ただし、基礎学力テストは学校の定期テストとはまったく性格が異なります。
通常の実力テストとも違います。
定期テストであれば、教科書を理解し、学校教材を3回以上解いて間違いを復習する。
そのうえで時間があれば、市販の問題集を同レベルで仕上げる。
これだけで、ほとんどの生徒が95点以上を取ることができます。
実際、地元中学校では学年1位の得点が492点前後というのが一般的です。
ところが、基礎学力テストは次元が異なります。
たとえば偏差値70の徳島市立高校理数科では、合格目標が5科で460点前後。
数学では、難関中学入試を高校入試向けに改題した問題や、教科書内容では手に負えない設問が並びます。
社会では、教科書の細部や写真・資料まで問われ、満点を取るのは至難です。
(それでも、当塾の生徒が社会で100点を取ってくることは時々あります。)
英語・数学は高校進学後も大学受験の礎となるため、上位層には「100点を狙いなさい」と指導しています。
一方で社会は、高校に進むと分野が細分化されるため、今は「基礎学で目標点を取る」「入試で合格点を取る」ことに集中すべき時期です。
そのため、社会の授業では「基礎学・入試で得点できる勉強法」と「実戦テクニック」の指導を重視しています。
今回の基礎学でも、歴史分野を難しいと感じた生徒が多かったようですが、実際の原因は“年代の区別”にあります。
この対策として、授業内で「年号暗記」を徹底すれば、意外なほど確実に得点できます。
一方で、教科書を順に覚えるだけの方法では混乱しやすく、点数は伸びにくいのが現実です。
社会科の詳細な分析については、後ほど私から改めてお伝えします。
基礎学の問題には独特の“癖”があります。
令和2年に出た問題が、ほとんど同じ形で数年後に出題されるというように、数年周期で類似問題が現れます。
また、10年前の徳島県入試の出題や、4〜5年前の他県の高校入試問題が形を変えて登場することも珍しくありません。
したがって、基礎学力テストと徳島県高校入試の両方を長年にわたって分析してきた講師から学ぶことが、成績向上への最短ルートです。
たとえば、社会で50点だった生徒が70点を目標にする場合、何をどう勉強するのか。
そして、その学びを最後まで支え抜く体制があるのか。
この一点で結果は大きく変わります。
社会は、最も短期間で成果の出やすい科目です。
実際、中2の基礎学で50点台だった生徒が、中3の第3回基礎学では90点以上を取った例が複数あります。
1年弱、受験用の勉強に集中すれば、結果は確実に変わります。
基礎学力テストは、「正確な傾向分析」と「適切な勉強法」で、成果が劇的に変わる試験です。
今回は、5科すべてにおいて指導責任者が「傾向分析」を行い、その結果を順次発表していきます。
まずは理科から。
担当の川真田講師によると、難易度は「公立中150人中20番前後の生徒で85点が合格点」とのことです。
以下に、川真田講師による第1回基礎学『理科』の問題分析を掲載します。
衣笠
2025年10月1日実施
第1回:基礎学分析
【中3:理科】
理科責任者 川真田渉
今年の第1回は、当初生徒から聞いた感想は、「難しかった」とうものでしたが、実際に問題を入手して解いてみたところ、川真田の印象では難易度は、例年と同程度と感じました。全体的には選択問題も多く、一問一答的に答えられる問題も多々あり、記述問題も少ない上、定番の問題でした。
ただ、例年通り何問かは難しい問題もあり、100点は取りにくい問題ではあります。
個々に問題を分析していきます。
大問1は植物の体のつくりに関する問題でした。
どれも基本中の基本の問題で、ここで点を落とした人は根本的に一問一答の暗記が不足していると考えられます。
問1の道管はらせん状になっており、真上から見ると丸く見えることはきちんと覚えておきましょう。
大問2は光の反射と屈折に関する問題でした。
問1の理髪店での2枚の鏡の反射の問題は、数年前の徳島県入試に出題された問題の焼き直しです。入試問題の方は作図をする問題でしたが、これは反射点を選ぶ問題なので、境界面(鏡)に垂直な線を考え、入射角=反射角を考えればできるレベルの問題なので、入試問題より難易度は低いと言えますが、できなかった人も少なくないでしょう。
問2、問3は水面で起こる全反射によって金魚がどう見えるかも選ぶ問題でしたが、全反射が起こるとき水面が鏡のようになることがわかっていれば選べる問題です。問3の光ファイバーは必ず全反射とセットで覚えておく新素材です。
問4の図4は、実は平成28年第2回に出題された問題とまったく同じ図(サイズだけ違う)で曲がる角度も全く同じです。徳島県の基礎学理科はときどきこういうことがあります。比較的に光の問題でよくあります。ということは、理科に関しては、過去問を解き込んでいる人が絶対有利です。
碩学ゼミナールでは、理科は過去問は15年分くらいあり、すべて川真田が作った解説があります。必ず基礎学対策として毎年させています。
大問3は気体の性質に関する問題でした。
基本問題です。なので、取らないといけない問題です。気体の性質は他の単元の問題で関連で出題されることも少なくありません。気体の性質を一問一答できちんと暗記していれば、Aが水素、Bが酸素、Cが二酸化炭素、Dがアンモニアと確定できます。
あと、この問題では出題されていませんが酸素や二酸化炭素は、一般的な発生方法を選ばせる問題もよく出ます。。夏の42時間講座では、今年は酸素と二酸化炭素の発生方法を知っているだけ書かせるトレーニングをさせました。案外成績上位の生徒でもなかなかできないので、普段からそういう意識をもって気体の勉強をしておくことが大切です。
大問4は柱状図に関する問題でした。
問1は図2に描かれていないE地点の柱状図を選ぶ問題でした。E地点はA地点とC地点の間にあるので、AとCの柱状図を基に考え、E地点に向かって右側がC地点、左側がA地点なので右が下がっている図を選べばよいので、エとなります。
問2の凝灰岩、問4の示準化石は基本問題、問3はゴロ合わせで覚えていればイージーな問題です。カのアケボノゾウはあまり聴き慣れないかもしれませんが、マンモスやナウマンゾウと同じゾウのなかまだと考えると、新生代と判断できるはずです。
問5はれき岩、砂岩、泥岩は粒が大きい=大きく重い→速く堆積する→れき岩は河口から近い浅いところで堆積するのがわかっていればできるでしょう。
大問5はヒトの呼吸に関する問題でした。
問1、問2は基本問題です。
問3は(1分あたりの呼吸による空気の出入りの量)=(呼吸回数)×(1回の呼吸で出入りする空気の量)で求まるので、出てきた運動時の値を安静時の値で割れば、何倍か分かります。
問4、問5については、細胞呼吸の目的は栄養分から生物活動のエネルギーを撮り出すことが最大の目的で、その副産物として二酸化炭素と水ができるということを、川真田は授業でしつこいくらい言っています。それを覚えていたらできる問題です。
大問6の1は各季節における天気図に関する問題でした。
問1?問5は基本問題です。ただ、停滞前線の記号は、必ず半丸が左、▲が右で北側が半丸、南側が▲です。そして2つのマークの間は少し空けるのは書き方のルールなので、曖昧な人はきちんと覚えておきましょう。
問6?の台風が熱帯低気圧であることを知っていても、最大風速17.2m以上が基準になることは知らなかった人がいたかもしれません。1のC地点とD地点に台風の目があるときのE地点の風向を考える問題は、やや難しかったかもしれませんが、台風が低気圧の一種で反時計回りに風が吹き込むことから考えて、C地点のときとD地点のときでの風向を考えるとできます。
大問7は鉄と硫黄の化学変化についての問題でした。
問1から問4は基本問題です。
問5は表から鉄7g、硫黄4gで過不足なく反応することがわかります。化学変化はいずれか一方がすべて使われるように反応するから、2段目は硫黄2gが3段目は鉄14gがすべて使われるように反応するので、2段目は鉄が3.5g、3段目は硫黄が7g反応するので、残るのは鉄3.5g、硫黄3gと分かります。
大問8は磁界と電磁誘導に関する問題でした。
問1は右ねじの法則がわかっていればできます。
問2は電圧計の読みが4.50V、電流計の読みが230mA=0.23Aが読み取れ、抵抗=電圧÷電流が分かっていれば、計算間違いさえしなければできる問題です。
問3は、電流や電圧が大きいほど磁界は強くなること、左手の法則では、コイルの動きは条件が1つ変われば逆に、2つ変われば逆の逆で元と同じになるのがわかっているとできます。
問4は最後の一文が「この電流を?」なら誘導電流、「この現象を?」なら電磁誘導と答えなければいけないので、最後まで問題をきちんと読む必要があります。
今回は、問題は比較的難易度が高くなく、100点を取れないまでも高得点は取りやすい問題だったといえます。したがって、今回高得点を取れた人も気を抜かず、引き続きしっかりと勉強に取り組んでいってください。
川真田
碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校を経て、立命館大学経済学部を卒業。
大学卒業後は「保険毎日新聞」に記者として入社し、報道の現場で社会の現実を見つめる日々を送る。
その後、地元に戻り、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長を歴任。香川県下7校舎の統括責任者として、多くの生徒の進路指導に携わってきた。
現在も毎朝、水を2杯飲み、5分間の瞑想と8分間の感謝日記、
軽い筋トレで心と身体を整えることが日課となっている。
科学・医学・教育に関する専門書を好んで読み、授業計画では思春期心理学や実証的な教育実践の論文を積極的に取り入れている。
どれだけ経験を重ねても、学びを止めた瞬間に傲慢が生まれる。
それが生徒の信頼を失うことにつながると、常に自戒している。
また、「どれほど立派な授業をしても、生徒が本当に成長しなければ価値がない」との考えをもつ。
だからこそ、入塾した生徒一人ひとりに真摯に向き合い、
保護者のご期待にも、誠実に応え続けることを自身の使命としている。
座右の銘は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」。
趣味は読書と野球観戦。家族とともに、辛口カレーライスをこよなく愛す。
元認定教育コーチ、青少年育成協会元研究員。母親向けの子育てセミナーの講師も手がける。