城東高校・徳島北高校
城南高校・徳島市立高校
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
スパルタでは「本番に強い子」は育たない
――家庭と塾で、自己肯定感と実力をともに育てる
中3生の保護者の皆さま
いつもお子さまの学習に温かいご理解とご協力をいただき、心より感謝申し上げます。
塾長の衣笠です。
今日は「スパルタ教育」と「本番に強い子ども」をテーマに、私の考えを少し丁寧にお伝えしたいと思います。
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1.スパルタ教育で「実力は付く」が、心の土台が弱くなりやすい
教育心理学の研究では、いわゆるスパルタ型に近い「権威主義的な養育(authoritarian)」が、どのような子どもの成長につながるかが詳しく調べられています。
• カリフォルニア大学バークレー校の発達心理学者 ダイアナ・バウムリンド
• ウィスコンシン大学・テンプル大学で研究を重ねた ローレンス・スタインバーグ らの研究を総合すると、
このタイプの関わり方で育つ子どもは、
• 大人の指示にはよく従い、
• 成績や技能も「ある程度までは」きちんと伸びる
一方で、
• 自己肯定感が低くなりやすい
• 不安が強く、失敗を極端に怖がる
• 自分で決めて行動する場面に弱くなる
という傾向が報告されています。
つまり、スパルタ教育は「そこそこの実力」は付けられても、「自分を信じてここ一番で決め切る力」や「長期的な幸福
感」を損ないやすい、ということです。
ロチェスター大学の リチャード・ライアン/エドワード・デシ による「自己決定理論」、スタンフォード大学 キャロ
ル・ドゥエック の「成長マインドセット研究」でも、罰や恐怖でコントロールされる教育は、内発的動機づけとウェル
ビーイング(心の健康と幸福感)を下げ、本番でのパフォーマンスを弱くすることが一貫して示されています。
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2.大谷翔平・藤井聡太の「育てられ方」
この話は、世界のトップレベルで活躍している大谷翔平選手や藤井聡太竜王・名人の育ち方とも重なります。
大谷翔平選手のご家庭の方針
報道されているご両親の家庭方針は、非常に象徴的です。
1. 家庭の雰囲気をいつも朗らかに
2. 絶対に「練習しろ」は一切言わない
3. 絶対に頭ごなしで怒らない・否定しない
4. 「やりたいことを楽しくやらせる」がモットー
そして、高校進学やメジャー挑戦といった人生の大きな決断についても、
「最終的には本人に決めさせる」 という姿勢を貫かれていたと言われています。
「厳しく管理して無理やりやらせる」のではなく、
本人の意思と楽しさを尊重しながら、高いレベルの努力へ自然に向かわせている のが特徴です。
藤井聡太さんと師匠・杉本昌隆八段の言葉
藤井聡太さんのご家庭も、将棋そのものには素人でありながら、
「本人の好きなことをとことんやらせる」スタイルで、家を“安心して戻ってこられる場所”として守ってこられたと言わ
れます。
師匠の 杉本昌隆八段 は、子どもの勝ち負けについて次のように語っています。
「正々堂々と戦って敗れたなら、むしろ褒めるべきです。
むしろ勝敗や対局数にこだわりすぎると、子どもはいつも自分より弱い相手を選ぼうとしたりします。
あるいは負けたくないために未知の局面に踏み込む冒険をしようとしません。これは非常にもったいない。
将棋の原点は楽しんで指すことだからです。」
これは、そのまま受験にも当てはまります。
• 「落ちたらどうしよう」と叱責を恐れる環境では、子どもは安全な選択しかしなくなり、
• 初めて見る問題に勇気を持って挑戦する “攻めの一手” が出なくなります。
正々堂々と本気で挑戦し、その結果としての「敗北」さえも、成長の糧として認めてあげる。
その姿勢が、長い目で見た「勝負強さ」と「幸せ」を育てるのだと思います。
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3.当塾が大切にしている「鍛え方」
もちろん、受験生ですから「甘やかせば良い」という話ではありません。
一定の基準を示し、やるべきことから逃げないように鍛えることは、教育者としての責任だと考えています。
ただ、その鍛え方は、
• 怒鳴る・脅す・人格を否定する
• ミスや失敗ばかりを責める
といったスパルタ型ではなく、
• やるべき課題ははっきり示す(学習量・期限・基準を明確に)
• できたこと・努力したプロセスを具体的に認める
• チャレンジした結果の失敗は、次につながる経験として一緒に整理する
という形で行いたいと考えています。
研究の蓄積から申し上げると、
スパルタであれば、たしかに「そこそこまでは」成績は上がります。
しかし、自己肯定感が下がり、ここ一番で決断できない、
本人が幸せを感じにくい大人になってしまうリスクが高まります。
一方で、自律性と対話を大事にしながら、必要なところではしっかりと鍛える関わりは、
実力と自己肯定感、そして長期的な幸福感を同時に育てる 可能性が高い、というのが現在の主流の学説です。
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4.保護者の皆さまへのお願い
受験が近づくと、どうしても「点数」「合否」「偏差値」に視野が狭くなりがちです。
しかし、お子さまがこの時期に身につけるべき一番大事なものは、
• 自分で目標を決めて努力したという実感
• 正々堂々と勝負し、結果を受け止める力
• うまくいかなかったときに、もう一度立ち上がる心の筋力
だと私は考えています。
どうかご家庭では、
• 結果だけでなく、「ここまでよく頑張っているね」というプロセスも認めていただく
• 本人が自分で決めた目標や選択を、可能な限り尊重して見守っていただく
• 負けたときこそ、「よく挑戦したね」と声をかけていただく
そのような関わりをしていただければ、塾としてこれほど心強いことはありません。
私自身、60歳を過ぎ(イヤですが、事実です(笑))、30年以上子どもたちを見てきて痛感しているのは、
「スパルタで伸びた点数」よりも、「自分を信じて挑戦できる心」の方が、長い人生では遥かに大きな財産になる
ということです。
今後とも、ご家庭と塾が同じ方向を向いて、お子さまの「実力」と「幸せ」の両方を育てていければと願っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
令和7年11月7日
碩学ゼミナール
塾長 衣笠 邦夫
【 中1から中3の入塾条件 】
SSクラス 学年成績10番以内程度
S1クラス 学年成績上位25%程度
S2クラス 学年成績上位50%程度以上の生徒
が入塾可能です
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碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校を経て、立命館大学経済学部を卒業。
大学卒業後は「保険毎日新聞」に記者として入社し、報道の現場で社会の現実を見つめる日々を送る。
その後、地元に戻り、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長を歴任。香川県下7校舎の統括責任者として、多くの生徒の進路指導に携わってきた。
現在も毎朝、水を2杯飲み、5分間の瞑想と8分間の感謝日記、
軽い筋トレで心と身体を整えることが日課となっている。
科学・医学・教育に関する専門書を好んで読み、授業計画では思春期心理学や実証的な教育実践の論文を積極的に取り入れている。
どれだけ経験を重ねても、学びを止めた瞬間に傲慢が生まれる。
それが生徒の信頼を失うことにつながると、常に自戒している。
また、「どれほど立派な授業をしても、生徒が本当に成長しなければ価値がない」との考えをもつ。
だからこそ、入塾した生徒一人ひとりに真摯に向き合い、
保護者のご期待にも、誠実に応え続けることを自身の使命としている。
座右の銘は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」。
趣味は読書と野球観戦。家族とともに、辛口カレーライスをこよなく愛す。
元認定教育コーチ、青少年育成協会元研究員。母親向けの子育てセミナーの講師も手がける。