2025/01/28 (火) - ブログ

基礎学3回「理科」問題分析! 川真田講師

城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
 受験專門塾
  碩学ゼミナールの衣笠です。

第3回基礎学力テストの「理科」の問題を
数学・理科責任者 川真田が分析したので紹介します。

2025年1月9日実施
第3回:基礎学分析

【中3:理科】
理科責任者 川真田渉

 

今回の第3回は、ここ最近の基礎学第3回の中で1番難しかったのではないでしょうか?川真

田の印象だと、普段の基礎学第3回を100とすると、今回は150位の難易度ではないかと考え

ます。

理由その1は、問題数がかなり多かった点です。全部で45問で問題数でいうと、基礎学という

より中間期末の問題数です。しかも、2つ合って丸、3つ合って丸の問題も13問あったので、

実質50問以上ありました。

理由その2は、問題文の量が多く長かった点です。基礎学理科の問題は最大7ページですが、

今回は7ページのギリギリまで問題があり、問題文も長いものが多かったです。

理由その3は、記述問題が多かったこと。単語や数字でなく、文章で答えなければいけない

問題が10問ありました。理由その4は、複数選択の選択問題が多かった点です。複数答えを選

ぶ問題は、1つ正解を選ぶ問題に比べると、極端に正解率が下がります。

理由その5は、大問1の計算問題2問と大問7と大問8が難しかったこと。徳島県の公立中の生

徒が解けないほどの問題ではありませんが(実際碩学の生徒もすべてではないが、ある程度

は正解できています)、あまり問題集でも見かけないような問題だったので、何これ?と思

った人も少なくないでしょう。

このような点から、第1回、第2回より得点が大きく下がった人が多かったと思います。た

だ、大問2?大問6については比較的難易度は高くなかったので、ある程度点が取れた人と取

れなかった人の差はここのできの違いが大きいのでは?と考えます。

 

個々に問題を分析していきます。

大問1は酸化銀の分解の問題でした。

問1、問2はよく出る実験の注意点に関する記述問題です。こういう定番の記述問題はきちん

と暗記して対応するのが基本です。問2の記述は、ガラス管を試験管から抜くでは丸はもらえ

ません。

試験管から抜いても、ガラス管を水そうに入れっぱなしだと水の逆流が起こります。あいま

いに暗記せず、正確に覚えとかないと、できたと思ったのに失点したということになりま

す。気をつけましょう。

問3はこの実験と同じ気体が発生するものを選ぶ複数選択の問題でした。同じ気体が発生す

るものを選ぶ問題はこのようによく出題されるので、きちんと暗記しておくよう、川真田は

しつこいくらい伝えています。

問4、5は計算問題でしたが、問4の方が難しかったと思います。可不足なく反応するときの

量の関係からきちんと答えを出せるようしっかり練習しておきましょう。

 

大問2は水の電気分解と燃料電池に関する問題でした。

問1?問4はできてほしい問題です。問5の計算問題は、水素対酸素が2対1で反応することがわ

かっていれば、難しくないと思います。

 

大問3は目、耳のつくりの問題でした。

これは基本問題なので、取らないといけない問題です。

理科は暗記が7割くらいだと考えます。人のからだに関する問題はほとんどが暗記で対処でき

ますが、覚えることが多いので、意外に苦手にしている人は多いです。テストに関係なく、

将来の自分の健康とかに関連する内容なので、きちんと知っておくことは大切です。

 

大問4は植物の分類に関する問題でした。

実は碩学の冬の27時間特訓の中で、今回植物の分類が出ることは予言していました。

参加していた生徒で事前に確認していた人は得をしたと思います。全体に標準的な問題です

が、マツの花粉の空気袋に関する出題は久しぶりだと思います。

マツは風媒花で裸子植物なので、花粉が風で飛ばされやすいつくりになっていることは、再

確認しておきましょう。あと、スギナがつくしの成体であることを知らない生徒は一定数います。

これも冬の27時間特訓の際に、一部生徒が知らなかったので教えたところ、たまたま出たの

で、その生徒は得をしたことを付け加えておきます。

 

大問5は天体に関する問題でした。

問題の難易度は高くありませんが、図がなく文章ばかりで、集中力が切れた人がいたかもし

れませんが、全問正解して点をかせいでほしい問題です。

 

大問6は地層の堆積と示準化石に関する問題でした。

これも標準的な問題です。きちんと暗記していれば取れる問題です。基礎学の理科は、難し

いといっても、すべての問題が難しい訳ではありません。

そういう意味で大崩れはしにくい教科だと思います。理科で大崩れするとしたら、その人は

まず間違いなく、一問一答などの基本事項が十分できていないはずです。

 

大問7は電磁誘導に関する問題でした。

電磁誘導の問題は、今はデフォルトの状態で、磁石の何極をコイルに近づける(遠ざける)

と検流計がどっちに振れるかを書いてあるので、実験2、実験3で磁石の極と動く向きがいく

つ変わっているかの判断ができたら、案外できます。

実験2,3のような磁石がレールの上を移動していく類似問題は時々あります。そういう問題

をやったことがあれば応用が利いたかもしれません。やはり数多く問題を解いていろんな問

題パターンを経験することは大切です。

しかし個人で数多く問題を解くのは、問題集をたくさん買う必要もあるし、実際には徳島県

ではあまり出ない問題まで解くことになって、時間のロスが生じます。

そう考えると、塾で講座等で、頼りになる先生の与えてくれた問題を解くようにするのが効

率がよいです。

あと、問5の記述問題はあまり見たことのない問題でしたが、碩学の生徒は案外できている人がいました。

 

大問8は力学的エネルギーに関する問題でした。

問1の等速直線運動中の物体にはたらいている力は、よく出る上間違いやすいです。等速で動

いているのだから、運動方向にも逆方向にも力がはたらいていないことに注意しておく必要

があります。

問2は、小球がレールから飛びだしたときのエネルギーの変化について問われていますが、

問題文を冷静に読めば答えられると思います。しかし、これが小球がレールから飛び出した

あとの軌道を作図せよになれば、とたんに難易度がアップします。

問3は力学的エネルギー保存の法則がわかっていれば、できる問題です。

問4、5はあまり問題集等で見かけない問題です。レール後半に摩擦抵抗の違うフェルト生地

と貼り、減速させたらどうなるかを問う問題でした。

スタート時の高さが50cm、フェルト生地通過後の高さが20cmなので、力学的エネルギー保存の法則から考えて、高さが30cm減っていることからこの分が運動エネルギーの減少分、

すなわちフェルト生地の摩擦力がした仕事の量と考えられます。

問5は一旦フェルト生地を通過し、レールの右側の斜面まで登った小球が、再度バックしフェルト生地を通過し、ループの頂上で運動エネルギーが0になったとき、スタート時の高さはいくらかを考える問題でした。

2回目にフェルト生地を通過して、さらに減速して・・・と考えると、間違います。結局ループの頂上で運動エネルギーが0になったということは、そのときの運動エネルギーとレールの右側斜面でいったん速度が0になったときの位置エネルギーが同じになることに気付けば正解にたどり着けます。

この考え方が難しかったと思います。

 

去年の中2の基礎学で出題された音の問題もそうでしたが、最近音の問題の設定がわかりにくい問題が増えた気がします。問題の設定をきちんと読み取れる力が問われていると思います。そういう意味では少し難しかったかもしれません。

 

このようにトータルとして、今回の理科は近年まれに見る難易度で、碩学の生徒も第1回、第2回より得点を落とした生徒が多かったです。

徳島県全体の平均点もかなり下がっているはずです。しかし前述したように、できる問題もある程度あったはずなので、こういう難易度の高い問題の時に、取れるべき問題でいかに点を落とさないかが崩れないポイントになると思います。

入試へ向けて、再度基礎基本を見直し、万全の体制で臨むようにしましょう。

 

以上

 

城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。
毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。
元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親
セミナーも手がける。