2025/10/10 (金) - ブログ

第1回基礎学力テスト「社会」(歴史)傾向分析!(衣笠)

城東高校・徳島北高校
城南高校・徳島市立高校
 受験專門塾
  碩学ゼミナールの衣笠です。

令和7年度 第1回基礎学力テスト(社会)分析
最初に、「地理」の時に書いた難易度分類と目標得点レベルの解説を繰り返して
載せます。

すべての問題を難易度別に分類した結果は次の通りです。

区分 問題数

基本問題 16問

基礎・標準問題 15問

標準問題 11問

ハイレベル問題 5問

合計 47問

このデータをもとに、得点レベル別に次のように分類しました。

レベル 目標得点 問題数

A 60点レベル 29問

B 70点レベル 6問

C 80点レベル 7問

D 90点レベル 5問

この結果から、Aレベル29問を完全に正解すれば、ほぼ60点が取れることになります。

社会が苦手で、まず60点を目標にしている生徒は、このA問題をマスターすることが最短で、最も確実な方法です。

指導者は、この資料を生徒に示し、焦ることなく基礎を固める大切さを伝えるべきだと思います。

 

歴史 問題分析

《 令和7年度・第1回基礎学力テストについて 》

全体を通して、「年号暗記」が力を発揮する問題が多く見られました。

単に覚えるのではなく、時代の流れと出来事を関連づけて理解しているかが、得点を左右する内容でした。

 

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【4】(4)② 水野忠邦の改革と海外情勢

水野忠邦の「天保の改革」は1841年から。この頃の海外情勢で最も大きな出来事は、1840年のアヘン戦争です。

 

アヘン戦争で清がイギリスに敗北したことを知った水野忠邦が、日本も同様の危機に陥ることを危惧し、改革に踏み切ったという流れは暗記必須事項です。

1825年の「外国船打ち払い令」と比べると、「打ち払っては失礼。必要なら薪や水を与え、帰るように言い聞かせよ」という法令内容はずいぶん丁寧です。

この変化の理由を問う問題でした。

答え:「清がイギリスに負けたことを知り、薪や水を与えることで、外国との争いを避けようと考えたから。」

 

年号を関連付けて暗記していれば、比較的書きやすい問題だったと思います。
難易度判定:【C】

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【4】(5)守護・地頭の設置時期を問う問題

荘園や公領ごとに地頭が置かれ、年貢の取り立てを行うようになったのはどの時期かを問う設問です。

まず、守護・地頭は1185年に源頼朝によって設置されました。

また、「守護・地頭の設置=鎌倉時代」と覚えている生徒も多いでしょう。

与えられた選択肢は次のとおりです。

A:律令により税が都に集められるようになった →「奈良時代」

B:国司が地方を治め、不正を行う者も現れた →「平安時代」

C:土倉・酒屋が活動するようになった →「室町時代」

D:百姓を村役人に選ばせ、村の自治を行わせた →「江戸時代」

 

よって、BとCの間にあたる時期、すなわち**鎌倉時代(イ)**が正答となります。

 

基礎的な事項の積み重ねですが、メモを取りながら慎重に解いていかないと、案外わかっていても取り違えることがあります。

難易度判定:【A】

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【5】(2)鎌倉時代の社会のようす

鎌倉時代の社会のようすに「当てはまら【ない】もの」を選ばせる問題でした。

選択肢は次のとおりです。

ア 二毛作が始まる

イ 灰を肥料にする、牛馬による耕作が始まる

ウ 口分田が与えられ、税が課された

エ 月に3回の定期市が開かれた

 

四つの選択肢がある場合は、まず「最も違うもの」を消し、次にその次を消して、残った二つを比べるというのが原則です。

 

農業に関する設問は苦手とする生徒が多く、迷ったかもしれません。

アとエは鎌倉時代の内容なので消します。

口分田と定期市を比べると、「定期市が月に3回開かれた」は鎌倉時代の特徴なのでこれを消し、

**当てはまらないもの=ウ(口分田)となります。

この問題の難易度判定は迷いましたが、農業分野の理解度を考慮して【D】**としました。

(異論もあると思います。)
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【4】(3)年代を古い順に並べる問題

ここでは「年号暗記」が非常に有効です。

塾では年号暗記プリントを「最重要30」「標準70」と段階的に覚えさせていますが、この問題の選択肢3つは

「最重要30」に含まれています。

選択肢:

ア・後醍醐天皇

イ・六波羅探題

ウ・後鳥羽上皇

エ・足利義満

 

六波羅探題は、後鳥羽上皇が起こした承久の乱の後に設置された役所です。

六波羅探題を覚えるのではなく、歴史の流れから判断します。

したがって、ウ(後鳥羽上皇)→イ(六波羅探題)→ア(後醍醐天皇)→エ(足利義満) の順になります。

 

比較的基本的ですが、やや迷う要素もあり、**難易度判定:【B】**としました。

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【5】(6)写真から時代を選ぶ問題

4枚の写真の中から、江戸時代のものを選ぶ問題です。

ア:雪舟「秋冬山水図」→室町時代

イ:高村光雲「老猿」→明治時代

ウ:金剛力士像(東大寺南大門)→鎌倉時代

エ:歌川広重「大はしあたけの夕立」→江戸時代

 

アとウはほとんどの生徒が分かったと思います。
イの「老猿」は以前にも基礎学力テストで出題されました。

エの歌川広重の作品は写楽と比べると地味ですが、教科書ではゴッホの模写と共に目立つ形で掲載されており、

出題として妥当です。

最後にイとエを比べ、江戸時代=エが正解。

やや難しく感じた生徒もいたと思いますが、教科書掲載度を考えると**難易度判定:【B】**です。

 

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【6】(4)年代を並べ替える問題(1930年代)
ア:抗日民族抗日戦線を結成

イ:犬養毅首相暗殺

ウ:ニューヨーク株価大暴落

エ:日本が国際連盟を脱退

 

イは1932年(五・一五事件)、ウは1929年(世界恐慌)、エは1933年(満州国建国後)。最重要年号です。

 

アの抗日民族抗日戦線は、年号を暗記するのではなく、1937年の日中戦争の開始によって中国国内がまとまってできたと

歴史の流れで判断します。

したがって、ウ→イ→エ→ア の順になります。

年号暗記ができていないと難しいですが、流れを押さえていれば正答できます。

難易度判定:【D】

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【6】(6)1945〜1951年に起こったこと

これも実質「年号問題」です

ア:日韓基本条約

イ:日ソ共同宣言

ウ:石油危機

エ:GHQが社会主義運動・労働運動を制限

 

ア・1965年、イ・1956年、ウ・1973年と、いずれも1951年以降の出来事なので除外。

よって、正解はエです。

 

正確に覚えていなくても、「明らかに違う選択肢を自信を持って消す」ことで、残った正答にたどり着くことができます。

難易度判定:【C】

 

総評

今回の歴史は、「知識の多さ」よりも「整理力と関連付け」が問われる出題でした。
年号を軸に時代の流れをつかむことで、選択問題も記述問題も確実に得点できます。

同じ努力でも、正しい勉強法で成果は大きく変わります。
次の基礎学力テストでは、より精度の高い理解と記憶で、一人ひとりが目標点を超えてくれることを期待しています。

 

碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校を経て、立命館大学経済学部を卒業。
大学卒業後は「保険毎日新聞」に記者として入社し、報道の現場で社会の現実を見つめる日々を送る。
その後、地元に戻り、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長を歴任。香川県下7校舎の統括責任者として、多くの生徒の進路指導に携わってきた。
現在も毎朝、水を2杯飲み、5分間の瞑想と8分間の感謝日記、
軽い筋トレで心と身体を整えることが日課となっている。
科学・医学・教育に関する専門書を好んで読み、授業計画では思春期心理学や実証的な教育実践の論文を積極的に取り入れている。
どれだけ経験を重ねても、学びを止めた瞬間に傲慢が生まれる。
それが生徒の信頼を失うことにつながると、常に自戒している。
また、「どれほど立派な授業をしても、生徒が本当に成長しなければ価値がない」との考えをもつ。
だからこそ、入塾した生徒一人ひとりに真摯に向き合い、
保護者のご期待にも、誠実に応え続けることを自身の使命としている。
座右の銘は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」。
趣味は読書と野球観戦。家族とともに、辛口カレーライスをこよなく愛す。
元認定教育コーチ、青少年育成協会元研究員。母親向けの子育てセミナーの講師も手がける。