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受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
英塾長・衣笠が第2回基礎学力テスト「社会」の分析を書いたので
紹介します。
2025年11月12日実施
第2回:基礎学分析
【中3:社会】
塾長 衣笠邦夫
基礎学力テスト第2回の社会について、分析結果をお伝えします。
まず全体の構成から確認しておきます。
今回の問題も第1回と同じように、A基礎レベル・B標準レベル・Cハイレベルの3段階に分けて考えました。
おおよその目安として、Aが60〜70点レベル、Bが80点レベル、Cが90点以上をねらう問題だと考えてください。
第2回は全部で47問ありました。
そのうち、A問題が30問、B問題が11問、C問題が6問という内訳です。
このA問題30問を確実に取ることができれば、60〜70点は十分にねらえる構成になっています。
A問題とは、基本的な問題集には必ず載っているような、いわば社会の「土台」となる重要問題です。
たとえば、
• 赤道の位置を地図から選ばせる問題
• ASEAN(東南アジア諸国連合)を答えさせる問題
• 1467年から始まった戦乱を「応仁の乱」と答えさせる問題
• 勘合を使った貿易の相手国を「明」と答えさせる問題
• 「連立政権」と答えさせる問題
• 衆議院解散後の総選挙の日から30日以内に召集される国会を「特別会」と答えさせる問題
こうした問題は、「ひらめき」や特別なテクニックを求められているわけではありません。
1冊の基本問題集を決めて、それを何度も何度も復習し、完全に仕上げること。
ここに全力を注げば、まず60点前後は安定して取れるようになります。
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次に、地理・歴史・公民ごとの難易度の特徴を見ていきます。
同じ基準で今回の第2回を分類すると、
• 地理:A問題13問、B問題1問、C問題1問
• 歴史:A問題10問、B問題5問、C問題2問
• 公民:A問題7問、B問題5問、C問題3問
という結果でした。
とくに公民でB・C問題の比率が高く、難易度の高さが目立ちました。
同じ基準を使って、令和5年度の基礎学力テスト第2回の公民を分類してみると、
A問題13問、B問題4問、C問題0問となります。
これと比べると、今年の第2回は、公民の難しさが例年より一段階高かったことが分かります。
ただし、「全く見たことのないような特殊な問題」が増えたわけではありません。
どちらかというと、「当たり前の内容」を、少し抽象的で分かりにくい文章にして問う
問題が増えました。
そのため、内容としては教科書レベルでも、日本語の読み取りや問いの意図をつかむ力が弱い生徒には、対応が難しかったと感じています。
ここからは、B問題・C問題の具体例をいくつか取り上げて、今後の対策と結びつけてお話しします。
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まず、地理の1番(6)の、アメリカについて説明した4つの文から正しいものを「すべて」選ばせる問題です。
正解が1つとは限らず、「すべて選べ」という形式になっている点が難しいところでした。
どの選択肢も一見正しそうに見えますが、
• 「サンベルト」は北緯37度「以北」ではなく「以南」であること
• ロッキー山脈の東側に広がるのは「パンパ」ではなく「グレートプレーンズ」であること
を知っていれば、誤った選択肢を確実に消すことができます。
そのうえで残り2つの正しい選択肢を選べれば満点です。
一方で、「すべて」という言葉に気づかず、正解を3つ選んでしまった生徒もいたと思われます。
こうした点から、この問題をC問題に位置づけました。
次に、2番(2)の地理の問題です。
家族旅行で、高知から山口県の祖母の家に行くときに通った本州四国連絡橋の名前を答えさせる問題でした。
地図だけを見ると「しまなみ海道」が一番近くに見えますが、
問題文には「1988年に四国を結んだ最初の橋」「下層に鉄道が走っている」といったヒントが書かれています。
この条件にあてはまるのは「瀬戸大橋」だと分かります。
本州四国連絡橋の名称を問う問題は、過去にも出題されていますが、正解率はあまり高くありません。
地理では、このような「地図と文章を組み合わせて判断する問題」が今後も増えると考えられます。
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歴史では、3番(2)の「幕府の政治は、将軍が任命したXが行い…」という文に対して、
Xとして「大老」か「老中」を選ばせる問題が出題されました。
塾生の正解率も、意外に低かった問題です。
大老・老中という語が出てきた時点で、時代は江戸時代と分かります。
ここで、すぐに答えを選ぶのではなく、
• 老中・松平定信
• 老中・水野忠邦
• 大老・井伊直弼
といった人物を順に思い浮かべてみてください。
大老は臨時に置かれる役職で、常にいるわけではありません。
これに対して、実際に政治の中心を担ったのは老中です。
たとえそうした知識があいまいでも、
「江戸時代の政治改革を進めたのが老中であった」
というところから考えていけば、正解にたどり着けます。
このように、すぐに答えを決めつけず、問題文を何度か読み直し、
「この問題は何を聞いているのか」を一つ一つ整理していくことが、ケアレスミスを減らすうえでとても大切です。
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公民の4番(2)bでは、「普通選挙」という語句を書かせる問題が出ました。
大日本帝国憲法下の制限選挙の記述と、現在の選挙の記述を並べて、
後者の文中の( )に入る語句を漢字4文字で答えさせる形式です。
「公務員の選挙については、成年者による( )を保障する」
という文で、今までほとんど見られなかった聞き方でしたので、生徒も戸惑ったと思います。
ただし、その少し前に、
「性別や納税額にかかわらず、18歳以上のすべての国民に選挙権が与えられている」
という文があり、制限選挙と対比して読めば、ここで言いたいのは「普通選挙」であると判断できます。
このように、キーワードに線を引きながら、文章を丁寧に読み解いていくことが、公民で確実に点を取るためのコツです。
語句としては基本的でも、問題文そのものの意味を取り違えるケースが多いため、この問題もC問題に分類しました。
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5番(1)では、日本で高齢化が進んでいる原因を選ばせる問題が出されました。
選択肢は、
ア:未婚率の上昇や晩婚化
イ:働きながら安心して子育てできる環境の不十分さ
ウ:健康志向の高まりや医療技術の発達
エ:高齢者が利用できる介護施設の不足
の4つです。
一読しただけでは、それぞれが高齢化とどう結びつくのか分かりにくかった生徒も多かったと思います。
ここでいう「高齢化」とは、「高齢の人の割合が高くなっている状態」です。
つまり、「お年寄りが長生きできる社会になっているかどうか」という視点で選択肢を読み直す必要があります。
そうすると、ウの「健康志向の高まりや医療技術の発達」が、直接の原因だと分かります。
エの「介護施設の不足」は、高齢化が進んだ結果として生じる問題であって、高齢化を進める原因ではありません。
このように、問題文を頭の中で具体的な場面としてイメージしながら読むことを意識しないと、読み違いが起きやすくなります。
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全体として見ると、第1回と比べて、問題そのものの「ひねり方」は、やや穏やかになっていた印象です。
その分、基本問題集をしっかり仕上げている生徒は、得点を伸ばしやすかったと思います。
対策としては、まず 「基本問題集を1冊、完璧にする」 ことが何よりも大切です。
高校入試の社会の原点は、一問一答形式の問題です。
同じ問題を繰り返し解くうちに、
「答えを見たら問題文が言える」
というところまでやり込むと、記述式の問題にも非常に強くなります。
問題集で出てきた語句や出来事で、気になるものがあれば、その都度教科書を開いて確認する。
この積み重ねが、社会の土台を固めていきます。
95点以上をめざす生徒は、徳島県の高校入試問題だけでなく、他県の過去問にも挑戦してみるとよいでしょう。
少し複雑な問題に出会ったときには、問題文を読んですぐに答えを出そうとせず、
• この問題は何を聞いているのか
• 答えを決めるキーワードはどこか
を意識しながら、状況を具体的に思い描いていく。
そうすることで、読み違いや勘違いを大きく減らすことができます。
最終的には、教科書の読み込みが決め手になります。
基本的な用語や出来事がひととおり頭に入ったら、
問題集だけでなく、教科書の本文を丁寧に読み直しておきましょう。
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今回、塾生31名の社会の平均点は、
第1回の77.42点から、第2回では80.45点へと上がりました。
塾全体の平均点が80点を超えたことは、素直に良かったと感じています。
今の中学3年生は、入塾当初は社会が苦手な生徒も多かったのですが、
この1年で、それぞれの実力が着実についてきました。
自分で立てた目標点にも、だんだんと手が届き始めています。
社会は、「正しい方法」で勉強すれば、
今は全くできなくても、いちばん短期間で点数が伸びやすい科目です。
基礎学力テスト第3回まで、まだ時間はあります。
ぜひこの期間を大切に使って、いっしょに実力を伸ばしていきましょう。
碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校を経て、立命館大学経済学部を卒業。
大学卒業後は「保険毎日新聞」に記者として入社し、報道の現場で社会の現実を見つめる日々を送る。
その後、地元に戻り、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長を歴任。香川県下7校舎の統括責任者として、多くの生徒の進路指導に携わってきた。
現在も毎朝、水を2杯飲み、5分間の瞑想と8分間の感謝日記、
軽い筋トレで心と身体を整えることが日課となっている。
科学・医学・教育に関する専門書を好んで読み、授業計画では思春期心理学や実証的な教育実践の論文を積極的に取り入れている。
どれだけ経験を重ねても、学びを止めた瞬間に傲慢が生まれる。
それが生徒の信頼を失うことにつながると、常に自戒している。
また、「どれほど立派な授業をしても、生徒が本当に成長しなければ価値がない」との考えをもつ。
だからこそ、入塾した生徒一人ひとりに真摯に向き合い、
保護者のご期待にも、誠実に応え続けることを自身の使命としている。
座右の銘は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」。
趣味は読書と野球観戦。家族とともに、辛口カレーライスをこよなく愛す。
元認定教育コーチ、青少年育成協会元研究員。母親向けの子育てセミナーの講師も手がける。