城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
【苦手科目の克服に必要な4つの原則】
苦手な科目を克服するためには、次の4つの原則が極めて有効です。
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①「非常にやさしい」課題から始める
② 成果ではなく「継続」に着目し、続いている努力をほめる
③ 難易度を徐々に上げ、苦戦する場面では親や指導者が「味方」として寄り添う
④ 子どもが「もっとやりたい」と自ら言い出すまで、焦らず「継続」を重視する
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【架空のたとえ話】
衣笠の長女(中2)がもしも数学が苦手だったら
(長女の名誉のために記す!これは架空の話です。)
中学2年の長女が数学を苦手にしていて、たとえば中間・期末で60点、基礎学では45点ほどだったと仮定します。これ
は、高校入試において「赤信号」と言って差し支えない状況です。
このとき親として私・衣笠がまず行うのは、「成功体験の種を用意すること」です。
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■ ステップ1:「できるはず」の教材を探す
私は迷わず、大型書店へ向かい、本人が「いくら何でもできるだろう」と思えるような低学年向けの問題集を探します。
実際、中2で60点という成績であれば、小学校2年生の内容から始めるのが妥当でしょう。プライドもあるので、小1で
はなく小2の教材にするのが現実的です。
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■ ステップ2:とにかく「満点」をほめる
問題を解かせると、小2の問題集の最初の30ページくらいは、すべて満点が取れます。そこで私は徹底的に褒めます。
衣笠:「すごいな!ほんとに全部できたやん!これは立派や!」
すると、長女は少し不満そうな顔をしてこう言います。
長女:「中2なのに、小2の問題なんか解けて当然でしょ!」
ここで私は、落ち着いた表情で返します。
衣笠:「でも、当たり前のことを当たり前にできるのは、大人でも難しいんだよ。立派なことなんだ。」
このひと言で、長女は少し誇らしげに、そして集中して問題を解き続けます。
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■ ステップ3:最初の「挫折」とその対処
ところが45ページくらいで、集中力が切れて1問だけ間違えます。
衣笠:「残念やなぁ~!パーフェクト逃した!惜しかったな!」
すると、今まで小2の問題を少し馬鹿にしていた長女が、急に真剣な表情になり、以後さらに丁寧に問題に取り組むよう
になります。
衣笠:「でもな、70ページの問題集を1問ミスでやり遂げたら、ものすごく立派なことや。残り20ページ、満点で締めてみ
ようか!」
返事はありませんが、長女の表情には明らかに火が灯っています。ここで「指示」よりも「応援」の姿勢を取るのが肝心
です。
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■ ステップ4:次のステージへ
残りも全問正解できたときには、少し大げさに褒めます。
衣笠:「うわーっ!もしかして天才やな!?本物の天才かもしれん!」
ここまでくると、次の提案が通ります。
衣笠:「小学3年も、やってみる?」
長女:「……うん、やってみる!」
こうして、学年をさかのぼるリハビリが順調に続いていきます。
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【苦戦=成長のチャンス】
しかし、小学3年の後半や小学4年の算数に入ったころから、解くスピードや正解率がガクンと落ちます。ここが、「つ
まずきの起点」です。つまり、本当に苦手意識が芽生え始めた地点です。
この段階で、親が「怒る」「呆れる」「責める」といった反応をしてしまうと、すべてが水の泡です。むしろ、そこに挑も
うとする姿勢そのものを賞賛すべきです。
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【親の立ち位置を変える】
この段階からは、親は「応援者」から「戦友」へと立場を変えます。
衣笠:「これは難しいな。でも大丈夫。思ったより全然いい感じやで。」
衣笠:「お前ががんばるなら、父も全力でサポートする。敵はこの問題や。一緒に攻略しよう!」
この場合
子どもにとって、問題集が「敵」であり、親は「共に戦う仲間」です。この構図ができると、子どもは孤独な闘いではなく、「支えられている感覚」の中で困難に立ち向かえます。
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【努力の継続こそ最大の評価対象】
努力の継続をこそ、最大の評価対象とすべきです。
・毎日できたらカレンダーに印をつける
・一言でも良いので毎回努力をほめる
・成果ではなく、続いている事実を評価する
継続していれば、自然と質・量は向上します。そして、ある日、子どもがこう言います。
長女:「ねえ、お父さん。もっと難しい問題やってみたい。」
この言葉が出た瞬間こそが、本当の「苦手克服への第一歩」です。
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【結論】
苦手科目克服の鍵は、「成功体験の積み重ね」と「安心できる伴走者」の存在です。
始まりは「やさしい問題」でも構いません。継続を支え、苦戦を共にし、子どもが自ら挑戦する気持ちを持ったとき、真
の学力が育ち始めます。
その後「敵」と呼んだ「数学の問題」が、解き進めていくうちに、敬意を込めた「ライバル関係」となることを強く望んでいます。
またその後、自分を育て強くしてくれた「ライバル」である「問題」に対して感謝の気持ちを抱く子供に育ってくれることを願っています。
そして、ゆくゆくは勉強が好きな子どもになってくれれば理想的です。
【追記】
上記実践は、子どもを褒める時に、「結果」ではなく「努力」を褒めることを心がけることの応用でもあります。
碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校を経て、立命館大学経済学部を卒業。
大学卒業後は「保険毎日新聞」に記者として入社し、報道の現場で社会の現実を見つめる日々を送る。
その後、地元に戻り、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長を歴任。香川県下7校舎の統括責任者として、多くの生徒の進路指導に携わってきた。
現在も毎朝、水を2杯飲み、5分間の瞑想と8分間の感謝日記、
軽い筋トレで心と身体を整えることが日課となっている。
科学・医学・教育に関する専門書を好んで読み、授業計画では思春期心理学や実証的な教育実践の論文を積極的に取り入れている。
どれだけ経験を重ねても、学びを止めた瞬間に傲慢が生まれる。
それが生徒の信頼を失うことにつながると、常に自戒している。
また、「どれほど立派な授業をしても、生徒が本当に成長しなければ価値がない」との考えをもつ。
だからこそ、入塾した生徒一人ひとりに真摯に向き合い、
保護者のご期待にも、誠実に応え続けることを自身の使命としている。
座右の銘は、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」。
趣味は読書と野球観戦。家族とともに、辛口カレーライスをこよなく愛す。
元認定教育コーチ、青少年育成協会元研究員。母親向けの子育てセミナーの講師も手がける。