城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
第3回基礎学力テストの「理科」の問題を
理科責任者 川真田が分析したので紹介します。
2022年1月12日実施
第3回:基礎学分析
【中3:理科】
数学責任者 川真田渉
第3回の理科は、中3範囲が大問8問中、3問と例年より比重が大きかったのが大きなポイントかと思います。従来中3内容は2問までが多かっただけに、中3内容の勉強が不足していた人は苦戦したことと思います。
また、新教育課程になって入ったイオン化傾向が出ました。徳島県の理科は今まで、新しく入った内容に関しては、その年に出題されることが少なかったので、このあたりも大きな変化といえるでしょう。それと、マグネシウムを使って二酸化炭素を還元する化学変化に関する出題がありました。これも新教科書になって入った内容です。中2教科書P187に載ってはいますが、教科書にはあまり詳しい説明は載っていません。学校の授業等で説明を受けていなかった人はわからなかったかもしれません。
あと記述問題が簡単なものも含めて8問ありました。第2回は記述問題の採点基準が厳しめだったりしているだけに、今後記述問題をしっかり書けるように日頃からトレーニングしておくことも高得点を取る必須条件になってくるかもしれません。
個々に問題を分析していきます。
大問1は光合成の問題でした。
基本的な問題で、探求の理科や多くの問題集に載っている問題です。この問題は点を稼ぐべき問題なので、1問でも間違えた人は要復習です。
大問2は還元に関する問題でした。
実験1は酸化銅を水素で還元する反応で、これは従来から教科書に載っていた内容なので、できた人も多かったと思います。
実験2が前述したマグネシウムで二酸化炭素を還元する化学変化でした。これは今まで教科書に載っていませんでした。教科書にも二酸化炭素がマグネシウムによって酸素を奪われて還元され、マグネシウムが酸化されるということははっきりと本文に記載がありません。ただ、問題に反応後に酸化マグネシウムができたことは書かれているので、できた黒い物質が炭素であることは想像がつきます。(6)のできた黒い物質(炭素)が何個できるかを求める問題は、化学反応式の係数が、マグネシウムと炭素の個数の比であることを知っていれば簡単です。
大問3は腎臓とそれに関連して血液成分の役割を問う問題でした。
標準的な問題で、できないといけない問題です。ただ(3)の腎臓のはたらきが不要物をこしとる以外に血液中の塩分濃度の調整をしていることは知らなかった人が多かったのではと思います。しかし、他の選択肢が腎臓のはたらきとしてはありえないものばかりなので、消去法で選べると思います(これが記述問題ならけっこう難問ですが)。
大問4は圧力についての問題でした。
何種類かのレンガを使って圧力を考えさせる問題はよくあるパターンの問題ではあります。ただそれぞれに圧力を出したりする必要があり、難しいというより面倒くさい問題であることが多いのです。しかし、この問題についてはレンガBとレンガCが同じ質量なので、比較的簡単に解くことができます。(2)は圧力の公式がきちんとわかっていれば書ける記述です。(3)はレンガBとCがレンガAの質量の半分なので、面積がAの半分になっているものを選べばよいというのは、公式をきちんと理解していればわかると思います。(4)はレンガCの面の向きは関係なく、レンガAのアの面の面積にAとCの重力がかかることがわかればできます。
大問5は低気圧、高気圧に関する問題でした。
(1)はこの天気図がどの季節のものかを答える問題であれば、やや難しい問題になるのですが、4月21日と日付が書かれているので、春の天気の特徴がわかっていればできます。他は高気圧、低気圧の基本事項がきちんと理解できていれば、答えられる問題です。(2)の寒冷前線通過後の変化や断面に関する問題は頻繁に出るので、このような記述問題でも対応できるよう、しっかり覚えておくことが大切です。
大問6はイオン化傾向に関する問題でした。
この問題は、実験1、2ともに水溶液中に電離して含まれる陽イオン(金属イオン)が原子に戻るかどうかでイオン化傾向の大小を考えていく必要があります。(1)については水溶液中の銀イオンが銀に戻ったことを問題文に書いているので、銀の方がイオン化傾向が小さいことがわかります。そして銅が銅イオンになるのですが、銅イオンが水溶液中で青色になることを塩化銅の電気分解の実験とつなげて理解していれば答えられます。実験2は、碩学ゼミナールで使用している理科の標準テキストに同じような実験が載っていたので、できた生徒も多かったようです。ただ、マグネシウムと亜鉛と銅のイオン化傾向の順番を覚えていなければ、表1の結果が埋められません。なので、最低限のイオン化傾向の順番を覚えること、陽イオン、陰イオンのでき方、原子への戻り方はしっかり勉強しておかないといけないでしょう。
大問7は仕事に関する問題でした。
定滑車は力の向きを変えるだけで、必要な力の大きさやひもを引く距離は変わらないこと、動滑車は必要な力の大きさは半分になるが、ひもを引く距離は2倍になることがわかっていれば、見た目ほどは難しくない問題です。ただ、図5の斜面の実験は動滑車を併用しています。動滑車を使わなければ、10cmの高さまで引き上げるのに20cmひもを引く必要があり、その上動滑車を使用しているので、さらにその倍の40cmひもを引く必要があるので、ひもを引く力の大きさは4分の1の大きさになることに要注意です。(5)の仕事率の問題は、かかった時間をひもを引く速さから求める必要がありますが、よくあるパターンの問題です。
大問8は黒点に関する問題でした。
(1)~(3)、(5)は太陽や黒点に関する基本問題なので、できないといけない問題です。(4)の太陽の自転周期は図1~3を見て、黒点が90°移動するのに7日かかっていることから考えて、約30日というのは求められたと思います。(6)はやや難問ですが、実は平成21年度に同じ問題が出題されています(数字が違いますが)。太陽の直径と地球の直径の比、太陽の直径と黒点の直径の比の2つの比で、太陽の直径の比が同じ比になるように、比を合わせればよいことがわかればできます。
今回の第3回は、第2回までに中1、2の内容がきちんと学習できており、第3回までに中3内容に重点を置いて勉強できた人が有利だったのではないかと思います。やはり、基礎学第3回で点を取るには、中1、2内容のみが出題される第1回までに中1、2内容はほぼ完成させる、第2回は範囲に入る中3内容と中1、2内容で不完全なところの強化、第3回でここまでの内容をほぼ完成させるといった計画的な学習が大切です。
入試はこれにプラスして、天体がよく出題されるので、残る期間で天体の学習と中1~中3の内容の最終確認を確実にやっていくようにがんばりましょう。
本文ここまで
城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。
毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。
元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親
セミナーも手がける。