勉強する意欲の低い生徒に、保護者同伴で面談をすることがあります。
もともと成績が良くて勉強が苦にならない生徒にとっては、学ぶことによって
知識がつながり、世界が広がる等
その利点はいくつも実感できることと思います。
しかし、成績もうまくいっていなくて勉強する習慣も弱い生徒にとっては、
勉強する意味がなかなか見つけられないようです。
そこで、三者面談では次のような会話が多くされます
「高校は行く予定?」
「うん」
ハッキリこう答えてくれればやりやすい。
志望校は決まっていないと口にしても、できればある程度の進学校に
行きたいという生徒がほとんどなので、比較的対応がしやすい。
現在塾に来ている生徒なので、もちろん高校へ行かないという生徒はいないですが、
曖昧な返事をしたり、ずっと沈黙する生徒はいます。
そんな生徒には、ハローワーク(公共職業安定所)の話をしてあげます。
現在、ハロ―ワークで紹介してくれる仕事は全部で約1500種類程度。
しかし、高校を卒業してない人が採用テストを受けられる職種は約50種
建設現場の雑用や臨時の清掃作業員など
残りの職種は、高校を卒業していなければ採用テストさえ受けられない。
この現実を伝えると、先ほどまで曖昧な表情をしていた生徒の顔に少し現実感が出てきます。
その後で次の質問をします。
「○○君は今何歳?」
「14歳…」
「30年後、仕事してると思う? 30年後は44歳だね。もう社会の中心にいる歳だけど、仕事してると思う? 」
この質問への反応は、生徒によってそれぞれですが、いくつかのパターンに分かれるように思います。
・当然、仕事はしているという反応
・たぶんしている(しているべきだとは思う)。でも、自分が本当にできるかハッキリしない
・何をこの人、突然言い出すの。そんな先のこと、考えたこともない。わからない
後の二つの反応の生徒には、続けて聞きます。
「働いていないとしたら、どうやってご飯を食べていく?生活費はどうしていると思う?44歳になっても
まだ、お母さんからお小遣いをもらっているだろうか?30年後、先生は80歳を超えているからもう死んでいるかもしれないけれど、お父さんとお母さんがヨボヨボになって困っていたらどうする?困って苦しんでいてもホッタラカシにする?」
ここまで聞くと、たいていの生徒は「ホッタラカシにはしない」という反応を見せます。そして、初めて未来は自分で生きていかないといけない。両親に対しても、子どもとして子供なりの責任はあるということに気付くようです。
また、その様子を見ていた保護者は、「将来は自立して自分の力で生きていかなければならない」という当たり前のことが、自分の子どもに伝わっていなかったことに驚きショックを受ける人が多いように思います。
将来は、自立して自分の力で生きていくべきである。その上で、まわりの人も支える責任がある
このことに全く考えが至っていない生徒は、ほとんどの場合
勉強する意味すらまったく見つけ出せない
「自分の好きなことだけやって、フラフラ流される生き方で何が悪いの?」と
思っている生徒は
当然、コツコツ真面目に勉強する必要性など深く感じるわけは無いと思えます
結局、先人が教えた「働からざるもの食うべからず」
この単刀直入な言葉が子どもの勉強意欲を高め、自立への強い後押しとなるようです。
子どもをお持ちの方は是非一度、お子さんに聞いてみてください。
「30年後、お前は働いていると思うか?」
衣笠
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