2024/11/12 (火) - ブログ

「叱り方・励まし方」について【前半】

城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。

以下のメールを全塾生の保護者の方に送りました。

お世話になっています。

今回は「叱り方・励まし方」についてご説明いたします。もしよろしければ、お時間のあるときにご一読ください。

衣笠が塾講師になる前から尊敬し、50冊以上のご著書を読んで学び、その内容をノートにまとめて暗記した向山洋一先生(小学校教諭、教育の法則化運動主宰)は、『厳し

く叱るべき状況』について次のように述べています。

厳しく叱るべき状況

1. 安全に関わる行動をした場合
子どもが道路に飛び出すなど、生命や身体の安全に直接関わる行動をした場合は、即座に厳しく叱ることで危険性を理解させる必要があります。

2. 他者に迷惑や危害を加える行動をした場合
他の子どもを叩く、公共の場で迷惑をかけるなど、他人に悪影響を及ぼす行動をした際には、社会の一員としての責任を教えるために厳しく叱ることが求められます。

3. 約束や責任を繰り返し無視した場合
何度も同じ約束を破る、または責任を意図的に放棄するような行動を取った場合には、行動の責任を自覚させるために厳しく叱ることが重要です。

叱る際のポイント

• 具体的な行動を指摘する

曖昧な表現ではなく、どの行動が問題だったのかを明確に伝えることで、子どもが理解しやすくなります。

• 感情的にならない

冷静な態度で叱ることで、子どもは指導の意図を正しく受け取ることができます。

• 改善策を示す

ただ叱るだけでなく、次にどうすれば良いかを具体的に教えることで、子どもの成長を促します。

向山氏は、子どもの行動を正す際には、厳しさと優しさのバランスが重要であると強調しています。そして、適切な場面で「厳しく叱る」ことで、子どもは社会のルールや

他者への配慮を学び、健全な心の成長につながると述べておられます。

しかし、厳しく叱るだけでは、子どもの「自己肯定感」を低下させ、意欲を失う危険性があります。

大前暁政先生は、以前保護者会でもご紹介した「できる教師の『対応力』-逆算で子どもが変わる」(東洋館出版社)にて、以下の指導経験を紹介しています。

ある小学生は、毎日のように喧嘩をしたり、授業中に落ち着かずおしゃべりをしたり、気に入らないことがあると教室を飛び出していました。その年の担任は、毎日のよう

に個別面談を行い、「何がダメなのか」を繰り返し言って聞かせましたが、問題行動は改善せず1年間荒れ続けたままで終わりました。

翌年の担任も同様に毎日のように叱りましたが、問題行動は一向に減らず、むしろ時間が経つにつれて酷くなり、叱られると脱走するだけでなく、物を壊したり、家に帰っ

てしまうようになりました。

こうして高学年になり、新しく担任となった先生(大前先生)は、まずその子を『信じること』から始めました。「この子には本当は素晴らしい心と力があり、きっと頑張

るようになる」と信じたのです。

4月にはまだ荒れた行動が見られましたが、少なからず頑張る姿勢も見られました。そこで大前先生は、その頑張りに焦点を当てて、ほんの少しの努力も認めて褒めることを

続けました。「君は本当は頑張れる人だ」と繰り返し伝え、行動が改善しなくても「改善しようとした」意志が見えたら褒め、少しでも成長が見られれば、「君は素晴らし

い力を持っている。次はきっとうまくいく」と励ましたのです。

こうして数か月が経過する頃、その子は別人のように頑張るようになり、喧嘩などの問題行動が改善されただけでなく、苦手なことにも挑戦するようになりました。

このような子どもの変化について大前先生は、『子どもの自己肯定感を高め、自分へのイメージを変えたこと』が成功の要因だったと解説しています。さらに、「自己肯定

感が高まると自信が生まれ、未来に向かって頑張ろうという意欲が湧き、自分の未来をより良いものに描けるようになる」と述べています。

大前先生の「小さな努力を探して褒める」という指導が、衣笠の指導方針と同じであることを大変嬉しく思います。

とはいえ、生活の中では「励ます」だけでなく、当然「厳しく叱る」ことも必要です。しかし、頭ごなしに叱ることで、子どもが「自分はどうせダメなんだ」と感じ、自己

肯定感を損なうことがないよう注意が必要です。特に思春期の子どもには、その点を慎重に配慮する必要があります。

そこで、次回は「子どもの自己肯定感を下げない『叱り方』」についてご紹介いたします。

令和6年11月12日

碩学ゼミナール 衣笠

 

碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。
毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。
元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親
セミナーも手がける。