2020/03/18 (水) - ブログ

令和2年入試「理科」問題分析 (川真田渉)

城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。

 

碩学ゼミナールの数学・理科責任者の川真田が、
令和2年入試「理科」の問題分析を書いたので紹介します。

令和2年度入試分析 理科
数学・理科責任者 川真田 渉

 

本年度は、全体的に例年の問題より易しかったように思います。

例年よく出題されていた電気の計算も出題されておらず、計算問題も基本的な問題ばかりでした。

記述問題も暗記していれば対応できる問題が3問、自分で考える問題も、それぞれ食物連鎖の内容と炭酸水素ナトリウムの性質がわかっていれば答えられる問題で難易度は高くありませんでした。

個々にみていくと、大問1は、小問集合の問題でしたが、(1)?(3)はよく見かける問題ばかりで、できた人も多かったと思います。

少し目新しかったのは(4)の放射線に関する問題でした。徳島県で10年で放射線に関する出題はなかったので、少し驚いた人もいたでしょう。

しかし、(a)は、原子力発電に利用されるウラン235が天然に存在すること、(b)のレントゲン検査に使われる放射線はX線であることは常識なので、できなければいけない問題だと思います。

 

大問2は食物連鎖についての問題でした。

食物連鎖は、入試では今まで大問1の中の小問で出題されたことがほとんどで、大問で出るのは珍しかったのですが、食物連鎖の基本の内容を押さえていればできる問題です。

(4)の食物連鎖の生物の釣り合いが崩れた場合の変移の仕方も基本的な内容なので、できなかったとすればそれは難しかったというよりは勉強不足だったと考えられます。

 

大問3は音に関する問題でした。

すべて基本問題ばかりで、特筆すべき問題は特にないのですが、振動数を求める計算、音の速さを求める計算が出ていましたが、標準的な問題集に載っているレベルの問題です。

 

大問4は気象観測に関する問題でした。

(1)(a)は乾湿計の設置場所についての問題でしたが、最近は百葉箱が設置されている学校が少なく、知らなかった人は選びにくかったかもしれませんが、日当たりのよい場所や風通しの悪い場所では、温度計に影響を与えることは想像できるレベルの内容でしょう。

また(2)は露点のときの湿度は100%であることは「露点のときの飽和水蒸気量=現在の水蒸気量」ということを知っていればわかると思います。(4)も現在の水蒸気量=27g×0.85=22.95gがわかれば、グラフより露点が25℃であることは求められる問題です。

 

大問5は、炭酸水素ナトリウムの分解に関する問題でした。

(4)の計算は、問題文に「試験管に残った物質を十分に乾燥させた?」とあるので、元の炭酸水素ナトリウムの質量ー実験後の試験管内の物質の質量=発生した水と二酸化炭素の質量と考えられます。

この関係性がわかれば、質量保存の法則から比例式で反応した炭酸水素ナトリウムの質量が求められるので、残った炭酸水素ナトリウムも4.0gー2.3g=1.7gと求まります。他の問題は基本問題なので、できた人も多かったと思います。

 

このように、今年は実力テスト程度の問題だったのですが、この傾向が今後も続くとは考えにくいです。

なので、来年以降に受験する人は、気を抜かず勉強するようにしましょう。

 

 

碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親セミナーも手がける。