2020/01/21 (火) - ブログ

第3回基礎学「社会」  公民・分析!

城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。

 

第3回基礎学「社会」分析!
「公民」について分析します。

5番(1)は、まず徳島県と神奈川県の一般会計歳入の円グラフが示されています。
(a) 問題では、データでみる県勢2018年度版から12行の参考資料提示されており、前出の一般会計歳入の円グラフと合わせて、「人口の減少(過疎化)」「(少子)高齢化」を答えさせる問題です。2つの資料を参考にして、答えを導き出す特徴  は、2020年大学入試改革の影響を感じます。難易度BCです。

(b) 地方交付税を答えさせる問題。重要ですが基本なのでA問題。

(c) グラフを示して市町村数の減少を資料から読み取らせてその理由を聞く問題です。答えは「市町村合併」。漢字5文字と漢字指定もあり、過去問でも出題はありますが難易度B問題です。

(2)の答えは「条例。最重要問題です。これは正解してください。A問題。

(3)直接請求権で、条例の請求に必要な人数を計算する問題。計算は必要ですが、基本問題なのでA問題。

(4)地方自治に関して、ア~オから間違いを2つ見つける問題。
ア.住民は首長の解職を求める権利はないと、ウ知事に立候補できるのは25歳からという個所が間違い。ただ、焦ってしまった生徒は、エの地方議会は、首長の方針に反対であれば、不信任の議決ができるという選択肢を、勘違いして間違いとして選択するかもしれません。難易度AB問題。

5番は、経済分野に関しての問題です。

最初に、佐藤さん、鈴木さんの会話が22行あたえられて、それに沿って(1)~(7)の設問があります。

(1)「多くの出資者を集める方法」を聞かれます。答えにくい問題ですが、第3回基礎学の範囲においては、株式会社は本当によく
出題されている箇所なので、ここはA問題としました。

(2)間接金融と直接金融を区別する問題。この形の問題は、問題集にも少なく過去問でも出題がなかったと思います。そこでこの問題の難易度はBとします。

(3)株式会社のしくみについて、正しく書かれた文章をア~エから1つ選択する問題。(1)でも書きましたが、株式会社は第3回基礎学では最頻出。授業では、少し教科書をこえた内容まで教えました。それでも焦った生徒の中には、「イ 株主総会では、事業の基本方針や株価を決める」を選択してしまった生徒がいました。当然、株価は株主総会では決めないのでこれは誤り。それでも株式会社は頻出で重要問題なので、難易度はAB。

(4)は文章に当てはまる法律名をア~エから選択する問題。1985年制定という問題文から自信をもって選択できたと思います。授業では、重要な法律はその制定された年も暗記しなさいと
繰り返し伝えているので、塾生は比較的簡単に正解できたと思います。

(5)これは全くの新傾向。これが今回の基礎学3回で、最も2020年大学入試改革の影響を受けた問題と言えます。
最初の22行の会話文の中に、自分たちが150円で販売している「すだち君チョコ」とよく似た商品を他社が100円で売るようになったという文があります。それに対して、その価格設定は( C )。

この( C )に当てはまる文章を、良い点と悪い点にふれ書きなさいという問題。もちろん、この問題の難易度はC。
これは日頃から新聞を読むなど広く情報を取り入れ、自分の頭で考える習慣を持っていないと解けません。

ちなみに、模範解答は「売れたときは、利潤が多くなるという『良い点』がある。また、他店より高くて売れないという『悪い点』もあるね。」です。
この問題で、すぐに思い出すのは昨年の開成中学の国語の入試問題です。デパートの「カニ弁当」の仕入れと販売に関して、売り上げと顧客満足の両面から経営者視点で小学6年生に記述させる問題でした。全く大人の考え方を要求された問題に、2020年大学入試改革の影響を強く感じ「カニ弁当」の衝撃!と言われ塾業界では大変話題になりました。

(6)「社会的責任」と漢字5字で答えさせる問題。教科書では、本文でないページへの掲載。しかし、解説に丸々2ページを使って具体例も説明してありました。この社会的責任は、アルファベットの表記では「CSR」ですが、今回は漢字5文字のみを正解としています。いままでも、「製造物責任法」が出題されたとき、必ず「PL法」とアルファベット表記でも正解とされていましたが、今回は漢字5字のみが正解とされました。今後は、漢字、アルファベットどちらも書けるようにする必要があるかもしれません。B問題とします。

(7)答えは「契約」です。難しい言葉ではなく、よく聞く「契約」の意味を理解したうえで「契約」と決定しなければなりません。大人からしたら易しく思える問題ですが、日頃から契約することの少ない生徒には、意外に難しいかもしれません。AB問題です。

 

A問題AB問題は慎重に解けば、例年通りの勉強で得点できたと思います。ただし、BC問題、C問題には例年よりも難易度が高い問題があり、それが上位の点数が伸び悩んだ理由ではないかと考えます。

「地理」「歴史」以上に「公民」分野は、教科書中心の勉強が重要です。まず、教科書の重要事項を暗記して、その書かれた意味を他人に説明できるように理解する。それから問題を解いて理解を深めていくという正攻法のやり方が一番効率的な勉強方法だと思います。
(了)

 

 

碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親セミナーも手がける。