城東・城南・城ノ内・徳島北高 受験専門塾
碩学ゼミナールの衣笠です
今年4月から碩学ゼミナールでは、小学校5年生に通常授業で理科・社会を開講しました。
現在受講生は4名、みんな素直で優秀な生徒ばかりです。衣笠は社会科担当ですが、小学生のうちから「社会の授業」のために塾に来てもらうからには、とんでもなく魅力的で価値ある授業をしない限り続けて受講してもらえないと経験上理解しています。
しかし、実際授業をしてみると、自分にとっては、これが高校受験の社会の授業より断然難しい。
中3の高校受験の社会の授業には、成績UPという明確な目標があります。過去の問題の傾向や暗記方法・点数UPの秘訣を説明しながら、テーマに合わせた興味深い話を挿入していくことによって生徒は満足してくれます。
その点小学5年生では、授業内容そのもので知的興味を与え、社会科を好きになってもらう必要があります。小学5年生の社会は「地理」です。その教科書を見て、改めてびっくりしました。そこには、中学地理の内容の80%くらいは既に出てきています。
最初の項目は、「日本は世界のどこにある?」です。教科書P6には、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、タイ、インド、サウジアラビア、エジプトの写真がカラーで載っています。インドはガンジス川での沐浴風景、サウジアラビアではターバンを巻いてサングラスをした男性が携帯電話で話をしている様子
P7にはサンタクロースが、海からボートに乗ってやってきているサマークリスマスの場面が紹介されています。45分の授業の中で、どれをどこまで深く話すかたいへん迷います。
しかも教科書の内容だけを話しても面白くありません。そこで藍住図書館に行って「世界の国ぐに探検大図鑑」「世界なんでも情報館」「国別大図解世界の国ぐに」など8冊の書籍を借りて情報収集しました。
また、ただ単に面白い話をしただけでは、塾の授業として失格で、興味を持たせてその上で確実に学校のテストで満足のいく点数をとってもらわないといけません。それは、当然受講生4名全員、学校の社会科のテスト毎回100点です。そのためには、20年間受験社会の指導をしている衣笠でも45分授業の準備に2時間以上は必要です。
教科書P9には、経線と緯線の内容が出てきます。そこで方位を測る写真が出てきますが、そのテーマで話す以上は、メルカトル図法の経線の東と本当の方位としての東が違うということを是非とも話したくなります。これは高校入試必出で、かつ、中学生も理解できていない生徒が多い内容です。
日本の真東に位置する国は、アメリカ合衆国ではなくチリやアルゼンチンです。このことを小5生に心の底から分かってもらうために、地球儀を片手に、教室の壁に掲示してあるメルカトル図法と正距方位図法(函館の専門店から通販で取り寄せたもの)を示しながら丁寧に説明していきました。
生徒は全員真剣な眼差しで、私の話を聞いてくれましたが、たったひとつの言葉でも生徒の理解を妨げるので、説明する方は必死でした。
説明を終えて、授業の最後に問題集を解いてもらった正解率がまずまずだったので、ホッと一安心。
生徒が帰った教室で、一人になってどっと疲れを感じて
思わず、唸りなが言った一言
「 小学5年生の社会は、受験社会より断然難しい~! 」
(この項続きます)
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