城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。
「叱り方」「励まし方」の【 後半 】です。
【 前半 】をまだお読みでない方は、【 前半 】の方から
先にお読みください。(衣笠)
子どもが、「自己肯定感」を損なわない「叱り方」
自己肯定感を守りながら叱るためには、「子ども自身を否定せず行動を具体的に指摘する」「改善策を示す」「叱る基準を一貫させる」ことが大切です。年齢に合わせた具体例とともに、大前暁政の提案を紹介し、最後に叱り方のポイントと一貫性の重要性をまとめます。
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小学生への叱り方
1. 行動の理由を説明し、理解を深める
• 悪い例:「どうしてすぐに片付けないの?」
• 良い例:「片付けをしてくれると、次に使いたい時にすぐ見つけられて便利だよ。どこに置くか一緒に決めようか?」
ポイント:理由を説明することで、子どもが行動の意味を理解しやすくなります。
2. 「こうしたらもっと良くなるよ」という肯定的なフィードバック
• 悪い例:「全然集中できてないね!」
• 良い例:「今日は少し集中が難しかったかな。次は30分頑張って、休憩をとるのはどう?」
ポイント:改善策を示しつつ、達成しやすい目標を提示します。
3. 小さな成功を一緒に確認し、ステップアップを提案する
• 悪い例:「なんでまた忘れ物するの?」
• 良い例:「今週は水曜日以外は忘れ物をしなかったね。来週も一緒にカレンダーでチェックしながらやってみようか?」
ポイント:小さな成功を認めつつ、次のステップを具体的に提案します。
4. 他者への影響についても考えさせる
• 悪い例:「そんなことするのやめなさい!」
• 良い例:「おもちゃをお友達と一緒に使うと、お互いにもっと楽しいかもしれないね。」
ポイント:他者への配慮を教え、協力の大切さを感じさせます。
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中学生への叱り方
1. 行動と結果を冷静に説明する
• 悪い例:「いつもやる気がないね!」
• 良い例:「宿題をしっかりやっておくと、授業の理解がスムーズになるよ。今はどこでつまずいてる?」
ポイント:なぜやる気を持つことが大事かを具体的に説明し、やる気を引き出します。
2. 冷静にアドバイスし、建設的な対話をする
• 悪い例:「そんなこと言ってもしょうがないでしょ!」
• 良い例:「自分の気持ちを伝えるのは大切だよ。ただ、伝え方次第で相手の受け取り方も変わるんだ。別の言い方も考えてみようか?」
ポイント:冷静で建設的な対話を通じて、感情表現の仕方を教えます。
3. 失敗を学びの機会と捉えさせる
• 悪い例:「またミスしてるね!」
• 良い例:「今回のミスから何が学べそう?次はこうしてみたらいいかもね。」
ポイント:ミスを将来に活かす視点を持たせ、自信を回復させます。
4. 自分の考えを引き出し、自己解決を促す
• 悪い例:「なんでまた忘れ物したの?」
• 良い例:「どうすれば次に忘れ物をしないようにできると思う?カバンにメモを貼ってみる?」
ポイント:自分で解決策を考えさせることで、責任感を育てます。
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高校生への叱り方
1. 判断理由を聞き、意見を尊重する
• 悪い例:「なんでこんなことするの?」
• 良い例:「どうしてその方法を選んだの?どんな結果を期待していた?」
ポイント:判断基準を尋ねることで、考える力を育みます。
2. 改善のための具体的なアプローチを一緒に考える
• 悪い例:「もっと考えなさい!」
• 良い例:「次に同じ場面になったら、どう行動するのが良いと思う?何かサポートが必要なら教えてね。」
ポイント:改善の方法を共に考えることで、自主性を育てます。
3. 未来への成長を見据えたフィードバックをする
• 悪い例:「もういい加減にしなさい!」
• 良い例:「これからの将来にもつながる部分だから、今のうちに少し意識しておくと良いよ。」
ポイント:将来のビジョンに基づいたフィードバックで、成長の機会と捉えさせます。
4. 信頼を前提としたポジティブな叱り方
• 悪い例:「また失敗?もう知らないよ。」
• 良い例:「今回は惜しかったけど、次はきっとうまくいくよ。どこを意識すればいいか一緒に確認しておこう。」
ポイント:信頼を前提に励ましつつ、次の成功をサポートします。
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大前暁政の著書『「自己肯定感」を高める褒め方・叱り方』からの具体例
大前暁政は、叱る際には「具体的な行動の改善策を伝え、叱りの基準を一貫させること」を推奨しています。叱る基準が一貫していることで、子どもが安心して自分を振り
返りやすくなります。
大前氏の具体例
• 例1:友達とのトラブル
o 悪い例:「どうしていつも友達とケンカするの?」
o 良い例:「友達とケンカしてしまったんだね。次に同じような場面があったら、どういう言葉で気持ちを伝えると良いか、一緒に考えてみよう。」
ポイント:ケンカの反省だけでなく、具体的な改善策を一緒に探る姿勢が大切です。
• 例2:学校での課題の提出遅れ
o 悪い例:「また提出が遅れたの?しっかりしなさい。」
o 良い例:「提出が遅れると成績にも影響するかもしれないね。次は期限を守れるように、どのタイミングで取り組むのが良いか一緒に計画しようか。」
ポイント:具体的な行動に対して叱り、改善の手助けをすることで、責任感と実行力が育ちます。
• 例3:忘れ物
o 悪い例:「また忘れ物をして、だらしがないね。」
o 良い例:「忘れ物を防ぐために、カバンのチェックリストを作ってみるのはどうかな?これなら、次はうまくいくかもね。」
ポイント:失敗を単なるミスとしてではなく、工夫するチャンスと捉えさせます。
大前氏は、「叱る際には、具体的な改善方法とポジティブな期待を伝える」ことが、子どもの自己肯定感を高めるために有効であるとしています。また、叱る基準が一貫し
ていることで、子どもも親の意図を理解しやすく、改善しやすい環境を提供できます。
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叱り方のポイントまとめ
• 行動を具体的に指摘する:曖昧にせず、行動の何が問題かをはっきりと示す。
• 具体的な改善策を示す:どのようにすればよいか具体的な行動を提案する。
• ポジティブなフィードバックを意識する:自己肯定感が下がらないように、改善点をポジティブに伝える。
• 一貫した基準を持つ:叱りの基準を一貫させることで、子どもが安心して自分の行動を見直せる。
• 子どもとの対話を重視する:一方的に指摘するのではなく、子どもと対話しながら自己解決に導く。
これらのポイントを意識することで、叱ることが自己肯定感を損なわず、前向きな成長をサポートする形になります。大前暁政の方法を参考に、建設的で一貫性のある叱り
方を心がけることで、子どもが安心して自己を改善し、成長できる環境を提供できるでしょう。
この回は以上です
何かのご参考になれば、幸いです。
令和6年11月12日【後半】
碩学ゼミナール 衣笠