2024/09/09 (月) - 高校部

【高校部】(お試し)音盤紹介 Vol.001 Out Of Time

こんにちは! 高校部講師の谷村です。
私は音楽が大好きでして、聴くのも演奏するのもやります。
書籍紹介と同じ要領でアルバム紹介をお試しで配布してみました。
評判がいいようなら、一か月に1~2枚のペースでおすすめの音楽作品を紹介していこうと思っています。

碩学館のみなさんにおすすめの音楽作品を紹介します!
今の高校生の皆さんはApple MusicやSpotifyなどのサブスクで音楽を聴いている人も多いかと思います。興味を持ちましたらぜひとも聴いてみてください!
記念すべき第1回(第2回があるかはわかりませんが(^^;))は1990年代に大ブームとなったオルタナティブ・ロックの大名盤からスタートします!

R.E.M. 『Out Of Time』 1991年

 

オルタナティブ・ロックは、ロックの一ジャンルで、商業主義的な産業ロックやポピュラー音楽とは異なり、アンダーグラウンドの精神を持つロックを指します。オルタナティヴ(Alternative)とは、「もうひとつの選択、代わりとなる、代替手段」という意味の英語の形容詞です。オルタナティブ・ロックは、インディー・ロックを含むジャンルで、音楽的な挑戦を追求し、メジャーシーンへのアンチを志向しています。

R.E.M.のアルバム『Out of Time』は、1991年にリリースされ、バンドのキャリアにおける重要な転換点となりました。このアルバムは、彼らの音楽的探求と実験精神を象徴する作品であり、商業的にも大成功を収めました。以下に、いくつかの視点からこのアルバムを詳述します。

音楽的革新と多様性
『Out of Time』は、R.E.M.が従来のギター、ベース、ドラムのフォーマットから脱却し、より多様な楽器編成を取り入れた作品です。例えば、代表曲「Losing My Religion」では、ピーター・バックがマンドリンを使用し、独特のリフを生み出しました。この曲は、全米シングルチャートで4位にランクインし、グラミー賞も受賞しました。また、「Radio Song」では、ファンキーなオルガンとKRS-Oneのラップが融合し、異色のコラボレーションを実現しています。

歌詞とテーマ
ヴォーカルのマイケル・スタイプが書く歌詞は、個人的な感情や社会的なテーマを織り交ぜたもので、リスナーに深い共感を呼び起こします。「Losing My Religion」は、実際には宗教(Religion)とは関係がありません。この曲のテーマは、恋愛の表現や感情の混乱に関するものです。歌詞の中で使われている「Losing My Religion」というフレーズは、アメリカ南部の表現で、「限界に達する」という意味です。この曲は、誰かに対して好意を持っているときに、その人が自分の気持ちに気づいているかどうか分からないという状況を描いています。また、相手に対してヒントを出しているけれど、それがうまく伝わっているかどうか分からないという不安も表現されています。

商業的成功と影響
『Out of Time』は、全世界で1800万枚以上を売り上げ、R.E.M.を国際的なスターに押し上げました。このアルバムの成功は、彼らの音楽が幅広いオーディエンスに受け入れられることを証明し、後続のアーティストにも大きな影響を与えました。特に、「Losing My Religion」は、90年代のオルタナティブ・ロックの象徴的な曲として、今なお多くの人々に愛されています。「Losing My Religion」のミュージック・ビデオは非常によくできていて、MTVの各賞を総なめにしました。以下で観られますので、興味を持った方はぜひご覧ください。

結論
R.E.M.の『Out of Time』は、音楽的革新、深い歌詞、多様なサウンド、そして商業的成功を兼ね備えたアルバムです。オルタナティブ・ロックは商業主義に反旗を翻した表現のため、R.E.M.の商業的成功を快く思わないロック・ファンもいました。しかし、R.E.M.がありふれたロック・バンドではなく、音楽の歴史に名を刻む存在であることを否定できる人はいないと思います。

この後、R.E.M.は次作『Automatic For The People』でその音楽性をさらに深化させ、また巨大な商業的成功を手にします。この作品もいつか紹介したいです。(谷村)

 

谷村 景貴(TANIMURA, Hirotaka)
株式会社碩学館(株式会社碩学ゼミナール高校部)
E-Mail: sekigakukan@gmail.com
首都大学東京(現東京都立大学)大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了
博士(理学)
高知医科大学(現高知大学)医学部医学科中退
東京大学特任研究員、お茶の水女子大学博士研究員、東洋大学研究助手、東洋大学理工学部応用化学科非常勤講師、東京工科大学工学部応用化学科実験講師、などを歴任。
趣味は、読書、音楽、映画、プログラミングのインドア派です。