2020/03/13 (金) - ブログ

「子供への接し方」【続編】質問への回答です!

城東高校・徳島市立高校理数科
県立上位高校(城南・城ノ内・徳島北高)
受験專門塾
碩学ゼミナールの衣笠です。

 

お世話になっています
生徒に対する接し方の考察「続編」です。

 

有名な心理学実験で「脅迫の実験」というものがあります。
米国の心理学者であるジャニスとフェシュバックがコネチカットの高校生200人を参加させ、虫歯や口腔についての4つのグループに分けて15分の講義を行いました。

Aグループ 「脅し無し」のグループ
「とりあえず、歯磨きをしてね」とだけ伝えた。

 

Bグループ 「弱い脅し」のグループ
不快な内容は一切触れず、歯の成長や機能に関するスライドを見せながら、「歯磨きしないと、虫歯になったり、歯に穴が
空くよ。だからちゃんと歯磨きしてね」と説明した。

(言葉のみ・虫歯のスライド無し)

 

Cグループ 「中度の脅し」のグループ
「歯磨きしないと、虫歯になったり、歯に穴が空いたり、口の中がただれたりするよ。
だから、歯磨きはきっちりしてね。」
と説明しながら、実際に虫歯になった人の写真を見せる。

(言葉と普通の虫歯のスライド)

 

Dグループ 「強い脅し」のグループ
虫歯の末期状態や間違った歯の手入れのおかげで悲惨な状態になった刺激の強いスライドを映し出し、「恐怖」を高めるようにした。

また同時に

「歯磨きを怠ると虫歯や歯槽膿漏になり激痛を伴ったり癌を誘発したりする」と伝えた

 

まず、どれだけ「脅し」が効いたのかを、講義直後に調べてみました。

結果は予想通り。「虫歯や痛んだ歯ぐきについて【心配した人】」は

Dグループ「強い脅し」で70%を超え、

Cグループ「中度の脅し」で50%、

Bグループ「弱い脅し」で46%

という結果となりました。

 

当然ながら、Dグループ「強い脅し」のグループの学生の多くが、最も心を揺さぶられたと考えられます。

しかし、ここからが重要です。

 

【 講義直後 】に行った調査で、
歯みがきの方法を指導されたように「改めよう」「改善しよう」と【行動する決意】をした人の割合は、

Bグループ「弱い脅し」で50%だったのに、

Cグループ「中度の脅し」で44%、

Dグループ「強い脅し」で28%だったのです。

 

 

その後、【一週間後】に歯みがきの【意識調査】をした結果も

「改善」の【 成果 】は

1番 B「弱い脅し」のグループ

2番 C「中度の脅し」のグループ

3番 D「強度の脅し」のグループ

4番 A「脅しなし」のグループ

 

つまり「改善の成果」は
B>C>D>Aの順になりました。

これは、Dクループ「強い脅し」のグループの生徒は、(一番)心配はしたけれど、何も行動を変えようとしなかったし、実際に変えなかったと言えます。
結論として、相手の「行動」を変えようと思ったら、脅して恐怖を与えてはいけないということです。

確かに脅せば、相手は反省したような態度を示します。

しかし、それは恐怖からであって、行動を変えようと思ったからではないのです。

教育をしようと思うなら、まず「行動」を変えた方がよい「理由」をしっかり説明するべきです。行動を変えることが自分にプラスになると本人が「理解」できれば、脅して「恐怖」を与えるよりもはるかに効果があるのですから。

 

さらにこの実験では、スライドで見せた内容とは逆の内容、
「歯ブラシなんてどんな種類のものでもいい( 安物の使い古した歯ブラシでも構わない)」といった(間違った内容の)チラシを見せて、それ(間違いの誘導)にどれだけ(騙されて)賛成してしまうのかも測定しました。

 

結果、Dグループ「強度の脅し」グループが、最も多くこの(間違えた内容の)チラシに賛同して(間違った考えを受け入れて)しまったのです。

ではなぜ、このような実験結果になったかというと、人間は脅しが強くなればなるほど、拒否反応がでるためです。

拒否反応が高まれば感情的になりやすく、「反発して」逆のことをしてしまうからです。

それに対して脅しが弱いと感情的にならず素直に話が聞けます。強制力もないため自分で考え、

自分の判断で気を付けようと思えるようになるからです。

「恐怖」は脅しまで高めずに、少しの「スパイス」として使うくらいがちょうどいいといえるでしょう。

《 追加実験として紹介 》
社会心理学者のハワード・レーベンタールは次のような実験を行いました。
【実験】学生たちに破傷風の「危険」が書かれた公衆衛生パンフレットを読んでもらいました。

パンフレットには破傷風によって引き起こされる
【恐ろしい画像】が「入っているもの」と「入っていないもの」を用意しました。
そして、パンフレットを見せた学生のうち、一部の学生には「予防注射の具体的な受け方(申し込みの方法など)」を丁寧に伝えて、

それ以外の学生には「何も伝えません」でした。

さらに対照的なグループとなる別の学生には破傷風の【危険】は告げずに(危険性は伝えないで)、
「予防注射の受け方のみ(申し込みの方法など)」を丁寧に伝えました。

その結果、「破傷風の恐怖を知らせ」かつ「具体的な危険回避手段を丁寧に伝えられた学生」だけが、予防注射を受けることを決断しました。

上記、2つの実験は、未来の危険を「脅し」でなく、
親身になって丁寧に「情報」として提供し、実現可能な
解決策を提示することが、人の「行動」を促進するのに
最も有効だと教えています

 

【生徒の勉強について当てはめると】

これを、生徒の勉強に当てはめて考えてみます。
まず、「勉強しない危険」を丁寧に説明して理解させ、
その後、どうすれば成績が上がるかのやり方を提示して「成績向上の方法」を伝えられたときのみ、

生徒は自ら進んで勉強するようになる。そのように考えてよいと思います。

 

 

以上、参考になれば幸いです。
(この後、子供を「やる気にさせる」具体的言葉がけについて解説します)【まだ、次回に続きます】

 

今日は、中3の高校入試後初めての授業、【高校準備講座】

第1日目でした。みんな入試の出来には満足している様子。その自信のある顔を見られてよかったです。

 

 

明日、14日午後7時30分から9時まで

外部生保護者会を実施します。少人数の会です。

参加いただいて、いろいろご質問いただければ嬉しいです
(088-677-7232まで、お電話でお申し込みください)

令和2年3月12日
碩学ゼミナール 衣笠

 

 

碩学ゼミナール塾長・衣笠 経歴
城西中学・城北高校・立命館大学経済学部卒 / 保険毎日新聞に記者として入社 / 帰省後、県内大手進学塾にて本部長・教務部長・校舎長、香川7校舎統括責任者。家族(嫁、長女、長男、母)をこよなく愛する。毎日一人ひとり全員とあいさつをした後、父のお仏壇に手を合わせるのが日課。趣味は読書と野球観戦。好きな食べ物は辛口カレーライス。元認定教育コーチ・青少年育成協会元研究員・子育てに関しての母親セミナーも手がける。